Modern Life Is Rubbish

美しいもの。本、映画、音楽、そしてそのほか雑文

デーモンアルバーンとヘルマンヘッセ

私が大好きなBlurというバンドのフロントマン、デーモンアルバーンはヘルマンヘッセが好きで影響を受けたことを公言している。 私自身が読んだヘッセの作品は「デミアン」「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「メルヒェン(短編集)」の4作。 このうち「メ…

ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」

圧倒的傑作。チェコスロバキアの自由化を危惧したソ連による占領・占領後の監視社会を背景にした男女4人の人生。 言葉・思念・哲学・政治・文化の洪水に浸る幸福な読書体験でした。 読書中、左脳と右脳の両方が刺激される感覚がしました。 ストーリー ドン…

佐藤泰志「黄金の服」(「オーバー・フェンス」含む短編集)

佐藤泰志の短編集「黄金の服」(「オーバー・フェンス」を含む)のあらすじと感想です。 佐藤泰志の小説を読んだのは初めてだったのですが、とてもよかったです。 イントロダクション(本の背表紙より) 青春の閉塞感と破壊衝動を鮮やかに描く短編集。 今回…

村上春樹「騎士団長殺し」

村上春樹「騎士団長殺し」のあらすじと感想です。あらすじ(本の背表紙より): その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた・・・…

「オーバー・フェンス」

★★★★★(5点中5点)あらすじ: 家庭をかえりみなかった男・白岩は、妻に見限られ、東京から故郷の函館に戻りつつも実家には顔を出さず、職業訓練校に通いながら失業保険で暮らしていた。 訓練校とアパートの往復、2本の缶ビールとコンビニ弁当の惰性の日々…

歌詞和訳 Blur「Battery In Your Leg」

前の記事で登場したBlurの「Battery In Your Leg」の歌詞の和訳を自分なりに作ってみました。この曲は、前記事にも書きましたが、バンドメンバーの二人の天才、デーモンとグレアムの悲しく美しく、しかし当時は不可避だった「別れ」に対するデーモンの思いが…

フィッツジェラルド「夜はやさし」と、Blur「Tender」

フィッツジェラルド 「夜はやさし」 原題“Tender is the Night” ■ 14時間のロングフライトの飛行機の中で、一気に読んでしまった本。 想像した以上に、自分にとって大切な、記憶に残る小説になってしまった。この小説は、ものすごく不完全な二人の人間のも…

サリンジャー「倒錯の森」

五つの短編が含まれているが、何といっても「倒錯の森」が素晴らしい。 (この「倒錯の森」だけは、中編といってもいい長さではある。)こんな小説が書けたら死んでもいい。 あるいは死ぬときはこんな小説を読んでいたい。 というくらい。壊れた詩人と、その…

「ゴッドファーザー PART II」

若い頃のデニーロの演技を観たくて、久々にゴッドファーザー PART IIを観た。タクシードライバーと迷ったけど、タクシードライバーのほうがたくさん回数観てるから、 今回は3回目くらいになるゴッドファーザー PART IIにしてみたら、これがよかった。 なかな…

「きっと意味なんてないさ、蹴飛ばすもの何にもありゃしないからね」

やらなきゃいけないことはたくさんある。 だけど自分にとって本当に大切なことや大切な人と関係ない物事たちは、本当は全然意味がない。 そしてほとんどの物事たちは、そんな風に見える。そういう風に感傷的な理由をつけて、意味がないと言って、それらの物…

幸せの外観と内実

・他人から見たらとてつもなくごく普通の出来事が、 自分にとってはとてつもなく幸せであることがある。 今朝は、離れて暮らす息子と電話で30分ほど話ができた。 夢中なことの話だけは、たくさん話してくれる。 きょうは、今はまっているゲームの話。 まあ…

やりすぎな9月

9月は初旬は友人とまったり会ったりと、ゆるりと過ごせていたのが、 9月は初旬は友人とまったり会ったりとゆるりと過ごせていたのが、 中旬から末日までは、てんやわんやだった。 保育園の申込方法調査、必勝法検討、見学予約 →鈍行列車旅行 to 秋田 with 娘…

初秋のセンチメンタリズム

昨日から、風は確かに秋である。 秋に変わっている。 あきらかに。 これまでより冷たい風が肌に心地よく、空も心なしか高く感じる。 真夏の異様な暑さの中にいるよりも、空気が澄んでいる感じがする。 そんなポジティブな感覚とは裏腹に、 何やらさみしくせ…

クローズアップ現代「ヒバクシャの声が届かない」を観た。

きょうは広島の原爆記念日。 昨日放送されていた クローズアップ現代「ヒバクシャの声が届かない」 をたまたま観た。たまたま観ただけなのに、内容がわりとショッキングだったので、メモしておく。なお、私は広島生まれ広島育ち(大学から東京で一人暮らし)…

ナボコフ小説「ロリータ」とキューブリック映画「ロリータ」

ナボコフの小説が原作で。 「ロリータ」という映画はこれまでに2つ撮られている。 キューブリック監督(1962年)の映画と エイドリアン・ライン監督(1997年)の映画である。このうち、小説と、キューブリックの「ロリータ」について書きます。 (1997年の映…

良きハウスワイフこそ善という幻想

■ きょうのBGM。 Blur漬けからちょっと離れて、久々にMixmaster MorrisのチルアウトDJ。 https://www.mixcloud.com/mixmastermorris/mixmaster-morris-nubient-big-chill-bar-london-april-2013-pt2/ このトラックリストの9番目の「bubbleman by DJ Wally」…

「精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ」

「精神を凌駕することのできるのは習慣という怪物だけなのだ」 三島由紀夫「美徳のよろめき」より

映画いろいろ

なるべく短く数行で、ここ最近観た映画たちの設定と感想を。基本、順不同だけれど、印象的だった映画をなるべく上のほう、あまり印象的でなかった映画を下のほうに。 ■No Distance Left To Run(2010年イギリス) Blurのドキュメンタリー映画。 幼い頃からの…

Blur新作ジャケの怪

2015年4月27日にBlurがニューアルバムをリリースすることが正式アナウンスされた! アルバムタイトルは「The Magic Whip」。 http://www.barks.jp/news/?id=1000112915シングルじゃなくって、アルバム! なんとも。 感無量。わたしの重すぎるBlur愛とBlur分…

なぜ人は

息子の誕生日を一緒に祝うため、アメリカのオハイオ州に来ている。オハイオの冬は東京などでは味わえないほど寒い。 毎日が氷点下の気温で、たとえば昨日車にのったときに車内に表示された外気の気温は、華氏7度。摂氏で言うとマイナス13度ほどである。 一度…

夢記録その1

ここ最近、わが子が登場する夢を見たので、何かのために記録。 この後その2、その3が記されるのかは不明だが、一応「その1」と題することとする。 ・夢1 息子と一緒にデルタ航空アメリカ行きの便に乗るために、螺旋階段を駆けのぼる。 デルタ航空のゲートが…

レイモンド・チャンドラー「ロング・グッドバイ」(村上春樹 訳)

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」。 今年、日本でドラマ化もされたが、なんと書かれたのは1953年と約60年も前。 私が読んだのは、もちろん村上春樹訳。 ■あらすじと設定 私立探偵のフィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリ…

木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」

敬愛する木皿泉さんの「昨夜のカレー、明日のパン」。ドラマと小説、両方観終えたので感想。 ■あらすじと設定 テツコは義父と2人で暮らしている。 義父のことは「ギフ」と呼んでいる。 夫の一樹が死んで7年(小説では9年という設定)になるが、いまだにギフ…

ギリシャ・オランダ夏旅行(12)

(12) おわりに ―夕陽のある生活 今回の旅で気づけた、最も尊いこと。 それは、旅行中ほとんど毎日、夕陽が落ちてゆく絵を、美しいなあと他の何をも考えることなく、眺めることができたことだった。 それから、旅の毎日を過ごすなかで、時間をほとんど気にし…

ギリシャ・オランダ夏旅行(11)

(11) アムス→フランクフルト→成田 2013年9月7日 土曜日●1. フランクフルト 早朝から、アムス発の列車に4時間乗って、フランクフルト空港まで行く。 早朝のアムステルダム駅には、夜遊びからそのままドラッグ漬けという風の女の子、男の子たちが見えた…

ギリシャ・オランダ夏旅行(10)

(10)アムスにてスマホのない旅を思う 2013年9月6日 金曜日 ●1. スマホのない旅 翌朝は、たいしたプランはなかったが、再び自転車に乗って出かけた。市街地の西のほうに、しゃれたお店が立ち並ぶナイン・ストリーツという場所があるということをヒルト…

ギリシャ・オランダ夏旅行(09)

(09) feels good in アムス 2013年9月5日 木曜日●1. 自転車天国 翌朝は、気持ちのいいお天気で、前日とはうってかわって、半袖でも十分な気温だった。私が出かける前にシャワーを浴びたり準備をしている間、夫は暇なのでひとりで公園でも散歩してくる…

ギリシャ・オランダ夏旅行(08)

(08) ロンドン経由でアムステルダムへ 2013年9月4日 水曜日 ●1. サンダル事件 十分波乱に富んだザキントス島日帰りの旅を終え、この日は移動の日だった。そう、愛すべきギリシャにお別れをして、オランダに旅立つ日である。まだまだこの平穏と幸福の…

ギリシャ・オランダ夏旅行(07)

(07) 荒々しき島、ザキントス島での苛酷な一日 2013年9月3日 火曜日 ●1. ザキントス・ブルー この日は早朝から、ケファロニア島のペサダというところから出ているフェリーに乗って、お隣の島、ザキントス島へ。 紅の豚のモデルになったというシップレ…

ギリシャ・オランダ夏旅行(06)

(06) 青の洞窟、アンチサモス・ビーチ、フィスカルドの街 2013年9月2日 月曜日 ●1. バランス 翌朝はペタニ・ベイ・ホテルを早々に出て、「青の洞窟」へ向かった。ほんとうの名前はメリッサニ洞窟。 洞窟に入って進んでいくと、すぐにまぶしいほどに光…