Modern Life Is Rubbish

美しいもの。本、映画、音楽、そしてそのほか雑文

クローズアップ現代「ヒバクシャの声が届かない」を観た。

きょうは広島の原爆記念日
昨日放送されていた
クローズアップ現代「ヒバクシャの声が届かない」
をたまたま観た。

たまたま観ただけなのに、内容がわりとショッキングだったので、メモしておく。

なお、私は広島生まれ広島育ち(大学から東京で一人暮らし)。
なので、原爆に関する平和教育は、自然と身近なものとして、たっぷり受けながら育った。

クローズアップ現代の内容は以下の3つ。
1.ヒバクシャの語りを学校教育として実施する学校の減少。
2.ヒバクシャ自身が語り中に体験した子どもたちのショッキングな反応と、そのことからヒバクシャ自身が反省し改善したこと。
3.生存ヒバクシャが減少していく中で、被ばく体験をどのように語り継いでいくべきか。

1.ヒバクシャの語りを学校教育として実施する学校の減少。
について。
ヒバクシャ側から学校に「語りをしたい」とオファーの電話をするが、受けてくれる学校が、過去に比べて減っている。
とのこと。
以下、実例。

・とある若い男性教師
「原爆の体験は、表現があまりに生々しすぎて、子どもたちがショックを受け、心に傷を負う可能性があると考え、ヒバクシャの語りはお断りした」

・とある校長
「ヒバクシャの語りの内容で、『自分はヒバクシャなので個人的には原発は反対』『なぜ日本は被ばくしているのに原発がまだあるのか、ときかれることがある』などがあったときに、内容が政治的と判断し、語りを中断させた」


!!!!!


言論の自由がおびやかされすぎちゃいませんか?
生々しすぎたら教育の場で教育できないの?
政治的な内容が含まれていたら教育の場で教育できないの?
事実としてそれを切り取って、そのフォローをするのが先生たちの役目じゃないの?

いや、まじでびっくりしました。
と、同時に、怒りがふつふつと自分の中で沸いてくるのを感じました。

その上で、


2.ヒバクシャ自身が語り中に体験した子どもたちのショッキングな反応と、そのことからヒバクシャ自身が反省し改善したこと。
について。

とあるヒバクシャの方が、横浜で語り中に、子どもたちから、とある罵声、暴言を浴びせられたという話。
その罵声、暴言とは。

「黙れ、この死に損ない!」

という言葉だったらしい。


!!!!!!!!!!

私、娘に離乳食あげながら番組観てたのですが、
この話をきいて、嗚咽まじりで泣いてしまっていました。

ショックすぎる。

そんな言葉、どこの子が発せられるのか?
信じられませんでした。

やはり戦争、平和、原爆に関する教育が不足しているからでは?

そしてなんと、その後、そのヒバクシャの方は、その罵声、暴言を受けて、
落ち込んだり、心折れたり、すねたり、怒ったりするわけでなく
「自分の語り方が悪かった。押しつけがましいところがあった」
と反省し、語り方を改善していきます。
子どもたちに直接語るのではなく、学校の先生方に語る。
そして、何を子どもたちに語るかは学校の先生方にチョイスしていただくようにする。
という方法に変更したのです。

この反省の姿勢。
本当に素晴らしい。
感動しました。
そして、自分もこんな風な強く優しい人間でありたいと。
なかなかできないことです。

この語り方の変更自体の効果については、私は疑問ですが、そのことを差し置いて、このヒバクシャの方の大人な対応に、いたく感動しました。


3.生存ヒバクシャが減少していく中で、被ばく体験をどのように語り継いでいくべきか。
これは大きな問題だと思いますが、この番組では特筆すべきことはあまりありません。
ヒバクシャの方の話を若い人が教えてもらい、引き継いで、他人事だけれど語っていくという「語りの引き継ぎ」がされているという内容でした。
これはあまり効果的とは思えません。
わたしは、ヒバクシャの方の語っている動画をたくさん撮り溜めしておいて、学校教育で流すのがいいんじゃないのかなと思いました。
そしてその動画を学校教育で流す前に、それぞれのヒバクシャのプロフィールなどを引き継いだ生存者が説明する。
生徒からの質問もその引き継いだ生存者が回答する。
というやり方です。