Modern Life Is Rubbish

美しいもの。本、映画、音楽、そしてそのほか雑文

ジョゼ三部作

「一年ののち」「すばらしい雲」、それから「失われた横顔」。

ジョゼと虎と魚たち」の主人公の女の子は、
フランスの女流作家サガンが描いた、
これら三部作に登場する「ジョゼ」という主人公から名をとり、
自分を「ジョゼ」と呼んで、という。

サガンの小説は、ある人には、恋愛だらけだったり、たるーい感じがしたり、無為や虚無や絶望を是としている感じがしたり、するのだろう。

ある人には、何も起こらないけれど心理描写が絶品の作品ばかり、ということになるのだろう。

私にとっては、サガンは高校時代から読んでいて、フランスの香りがして、大好きだった。

今考えると、

・独立心旺盛で、孤独を楽しんだり悲しんだりする女の子

・自分の感情のアップダウンや、自分の悪の部分を、客観的に見て嘲笑する女の子

・ベースは安定しているが、折に触れ不安定になりその不安定な自分を楽しんだり、不安定な人間と接することに嫌気を覚えながらもそれを楽しんだりする女の子

・ストレートにものをいうのできつく見えるが、実際は自分の気持ちに素直なだけの女の子


こういった、自分として親近感をおぼえる女の子像をコケティッシュ(死語か)に魅力的な形で描いてくれている、それが、自分がサガンが好きだった(好きな)一番の理由なんだろうな。

つまり、わたしにとってのサガンの小説の本質は、恋愛でも虚無でもなく、
何にも依存せず、自分に客観的な目をもつ、強い女の子ということ。

3つめの「安定をベースにした不安定」。
そういうのに酔ってしまう自分、というのは昔から自分の中にいるね、と友達と最近話したところでした。

大人になっていくのに、不安定を楽しむ部分がずっとあってよいのかっていう疑問もあるけれど、
安定してしまったらおもしろくないだろうと思い、自分をコントロールできる範囲では不安定になることは今のところ是としています。

サガンがフランスで50〜70年代にかけて描いたこういった女の子は、
まさに現代の欧米化し独立心を得た日本女子の中には
共感する人は多いのでは、という気がしますが。
あるいはやはり、「欧米化」とはいっても「米」と「欧(仏)」では、また全然違ったりして、
このサガン的感性(仏)にぴったりきちゃう人は少ないのかな。