Modern Life Is Rubbish

美しいもの。本、映画、音楽、そしてそのほか雑文

デーモンアルバーンとヘルマンヘッセ

私が大好きなBlurというバンドのフロントマン、デーモンアルバーンはヘルマンヘッセが好きで影響を受けたことを公言している。 私自身が読んだヘッセの作品は「デミアン」「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「メルヒェン(短編集)」の4作。 このうち「メ…

ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」

圧倒的傑作。チェコスロバキアの自由化を危惧したソ連による占領・占領後の監視社会を背景にした男女4人の人生。 言葉・思念・哲学・政治・文化の洪水に浸る幸福な読書体験でした。 読書中、左脳と右脳の両方が刺激される感覚がしました。 ストーリー ドン…

佐藤泰志「黄金の服」(「オーバー・フェンス」含む短編集)

佐藤泰志の短編集「黄金の服」(「オーバー・フェンス」を含む)のあらすじと感想です。 佐藤泰志の小説を読んだのは初めてだったのですが、とてもよかったです。 イントロダクション(本の背表紙より) 青春の閉塞感と破壊衝動を鮮やかに描く短編集。 今回…

村上春樹「騎士団長殺し」

村上春樹「騎士団長殺し」のあらすじと感想です。あらすじ(本の背表紙より): その年の五月から翌年の初めにかけて、私は狭い谷間の入り口近くの、山の上に住んでいた。夏には谷の奥の方でひっきりなしに雨が降ったが、谷の外側はだいたい晴れていた・・・…

フィッツジェラルド「夜はやさし」と、Blur「Tender」

フィッツジェラルド 「夜はやさし」 原題“Tender is the Night” ■ 14時間のロングフライトの飛行機の中で、一気に読んでしまった本。 想像した以上に、自分にとって大切な、記憶に残る小説になってしまった。この小説は、ものすごく不完全な二人の人間のも…

サリンジャー「倒錯の森」

五つの短編が含まれているが、何といっても「倒錯の森」が素晴らしい。 (この「倒錯の森」だけは、中編といってもいい長さではある。)こんな小説が書けたら死んでもいい。 あるいは死ぬときはこんな小説を読んでいたい。 というくらい。壊れた詩人と、その…

ナボコフ小説「ロリータ」とキューブリック映画「ロリータ」

ナボコフの小説が原作で。 「ロリータ」という映画はこれまでに2つ撮られている。 キューブリック監督(1962年)の映画と エイドリアン・ライン監督(1997年)の映画である。このうち、小説と、キューブリックの「ロリータ」について書きます。 (1997年の映…

レイモンド・チャンドラー「ロング・グッドバイ」(村上春樹 訳)

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」。 今年、日本でドラマ化もされたが、なんと書かれたのは1953年と約60年も前。 私が読んだのは、もちろん村上春樹訳。 ■あらすじと設定 私立探偵のフィリップ・マーロウは、億万長者の娘シルヴィアの夫テリ…

木皿泉「昨夜のカレー、明日のパン」

敬愛する木皿泉さんの「昨夜のカレー、明日のパン」。ドラマと小説、両方観終えたので感想。 ■あらすじと設定 テツコは義父と2人で暮らしている。 義父のことは「ギフ」と呼んでいる。 夫の一樹が死んで7年(小説では9年という設定)になるが、いまだにギフ…

ジョゼ三部作

「一年ののち」「すばらしい雲」、それから「失われた横顔」。 「ジョゼと虎と魚たち」の主人公の女の子は、 フランスの女流作家サガンが描いた、 これら三部作に登場する「ジョゼ」という主人公から名をとり、 自分を「ジョゼ」と呼んで、という。 サガンの…